未成年飲酒は法律によって禁止されていますが、もし未成年にも関わらずお酒を飲んでしまった場合はバレたらどうなるのか、警察に捕まるのかと気になる方も多いのではないでしょうか?
今回は未成年飲酒によって当事者や一緒にいた周りの人がどのような処罰を受けるのか、法律の事項と一緒に詳しく紹介していきます。
未成年飲酒の何が悪いのか、体への影響や飲酒をすすめた人の処罰についても紹介しますので、未成年飲酒について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
目次
日本には未成年飲酒に関する法律がある

日本では「未成年者飲酒禁止法」 によって20歳未満の未成年の飲酒が禁止されており、未成年が飲酒することは刑罰にはなりませんが違法行為に該当します。
学校に通っている学生や社会人の場合は、飲酒がバレたら停学・退学の処分を受けたり解雇されたりするなど、社会的な制裁を受けることもあるでしょう。
まずは「未成年者飲酒禁止法」で定められた事項や、未成年飲酒をしたらどうなるのか具体的なリスクについてご紹介します。
法律では未成年飲酒は認められていない
「未成年者飲酒禁止法」 の第1条1項では未成年の飲酒を禁止する内容が定められており、20歳未満が未成年の対象となります。
これは飲酒をきっかけとした危険から未成年を守り健全に成長できるよう制定されたもので、未成年の飲酒を禁ずる内容のほかに飲酒に関わった親権者や販売した店など、周囲の大人に対する罰則を定めています。
2022年4月1日に施行された民法の改正によって成年年齢がこれまでの20歳から18歳に引き下げられましたが、飲酒に関しては今までと変わらず20歳にならないと認められないため、注意しましょう。
未成年飲酒は事件や事故に繋がりやすい
未成年の飲酒は健康上の問題だけでなく、事件・事故に繋がりやすいことが大きな社会問題となっています。
また危険性が高い飲酒運転は、怪我だけでなく最悪の場合死亡事故となるケースもあるでしょう。
その他にも、飲酒による暴行事件や性犯罪など、飲酒によって引き起こされる犯罪が後を絶ちません。
未成年の飲酒は、さまざまな事故や事件に発展するリスクが高いこともあらかじめ理解しておくことが大切です。
未成年飲酒がバレたらどうなる?警察に捕まるのか解説

未成年による飲酒は法律によって禁止されていますが、第三者によって通報された場合や警察にバレたらどうなるのでしょうか?
飲酒をした本人への対処や一緒にいた親権者・監督者などの周りの人では、法的な処罰が異なります。
未成年の飲酒がバレたら警察に捕まるのか、お酒を飲んだ本人や一緒にいた親権者・監督者などの大人はどうなるのかについて確認していきましょう。
未成年飲酒をした本人に対する罰則は基本的に無い
結論から言うと飲酒した本人への処罰はなく、飲酒したことによって警察に逮捕されることはありません。
その理由は、未成年者飲酒禁止法が飲酒のさまざまな危険から未成年者を守ることを目的としているからです。
法律で定められた処罰がないため飲酒がバレたら警察に捕まるといったことはありませんが、学生の場合は停学や退学になるほか、社会人の場合は解雇されるなど社会的な制裁を受ける可能性はあります。
また飲酒による昏睡状態で暴行・傷害のほか、わいせつ行為に及んだ場合などは未成年であっても処罰の対象となるでしょう。
一緒にいた周りの人が親権者や監督者にあたる場合は罰せられる
未成年の飲酒がバレたら警察に捕まることはないことや処罰がないことをお話しましたが、その一方で一緒にいた親権者や監督者に関しては罰金などの厳しい処罰が与えられます。
理由としては、未成年者飲酒禁止法の第1条2項で「親権者や監督者は未成年の飲酒を見つけたら制止する義務がある」と定められているからです。
未成年飲酒を知りながらも止めずに一緒にいた場合は、「科料」と呼ばれる1,000円~1万円未満の罰金のような処罰を受けることとなります。
親権者や監督者など近い場所で見守る立場にある大人は、未成年飲酒を防ぐように働きかけなくてはいけないことや、未成年飲酒を見て見ぬ振りした場合にどうなるのかをしっかり認識しておきましょう。
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未成年飲酒と知りながらお酒を提供したお店も罰せられる
未成年者飲酒禁止法では、スーパーやコンビニ・居酒屋・バー・酒屋などのアルコールを販売・提供する店で、未成年と知りながらお酒を提供することを禁止しています。
もしも未成年と知りながらお酒を販売したり提供したりした場合には、店側に50万円以下の罰金が課されてしまいます。
罰金だけでなく酒類販売業の免許を取り消される可能性もあるため、親権者や監督者に課される刑罰よりも重く、社会的な責任が問われることが特徴的です。
店側がお酒の提供をする際に年齢確認をすることは法律で義務付けられているからであり、未成年飲酒を止めるためにも欠かせないものと言えます。
未成年飲酒をすすめた周りの人が問われる罪をご紹介

未成年の飲酒がバレたら、一緒にいた親権者や監督者のほかに酒類の販売や提供をしたお店が罰せらることをご紹介しましたが、未成年に飲酒を勧めた人も罪に問われます。
大学生や社会人の場合は未成年にも関わらず、飲酒を勧められるような場面に直面することもあるでしょう。
しかし未成年に飲酒を強要した人は、その責任が重い罪に問われることを忘れてはいけません。
ここでは未成年飲酒をすすめた場合にどうなるのか、その罪として代表的な「強要罪」「傷害罪や過失傷害罪」「現場助勢罪」「保護責任者遺棄罪」の4つのパターンをご紹介します。
- 強要罪
- 傷害罪や過失傷害罪
- 現場助勢罪
- 保護責任者遺棄罪
未成年飲酒をすすめた場合の罪①:強要罪
未成年に対して脅して無理やり飲ませたり、押さえつけるなど暴行を加えて飲酒させたりした場合には、その行為が強要罪として問われる場合があります。
強要罪に問われた場合は刑罰としては3年以下の懲役となり、社会的責任は非常に重いものです。
未成年に対して飲酒を強要することは、相手が親しい間柄だったりその場の雰囲気で流されてしまったりした場合においても、「強要罪」という犯罪として成立する可能性があることを認識しておきましょう。
未成年飲酒をすすめた場合の罪②:傷害罪や過失傷害罪
未成年に対して意図的に酔いつぶれるほど飲ませた場合や、急性アルコール中毒となってしまった場合には傷害罪が成立する可能性があります。
意図的ではなかったものの未成年が飲酒して酔いつぶれてしまった場合などは、過失傷害罪や重過失傷害罪が成立することもあります。
傷害罪の刑事罰は15年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金になり、過失傷害罪の刑事罰は30万円以下の罰金または科料となっています。
また、重過失傷害罪の刑事罰の場合は5年以下の懲役かあるいは禁錮又は100万円以下の罰金が課されるため、非常に重い処罰を受けることとなるでしょう。
未成年飲酒をすすめた場合の罪③:現場助勢罪
未成年に直接飲酒を強要しなかったとしても、飲酒を促すようなコールをするなど周りで飲酒をあおるような場を作って泥酔させてしまった場合には、現場助勢罪が成り立つ可能性があります。
現場助勢罪の刑事罰は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料となっています。
飲酒の強要に直接関わった場合はもちろんですが、飲酒の場に一緒にいた場合にも状況によっては重い刑罰が課され、社会的な責任が問われることを忘れないようにしましょう。
未成年飲酒をすすめた場合の罪④:保護責任者遺棄罪
未成年に飲酒をさせた結果、酔いつぶれてしまったにも関わらず必要な対処をせずに放置した場合には、保護責任者遺棄罪に問われることがあります。
さらに飲酒が原因で死亡した場合には、保護責任者遺棄致死罪に該当する場合もあるでしょう。
保護責任者遺棄罪が成立した場合は3ヶ月以上5年以下の懲役が、保護責任者遺棄致死罪ではさらに重い3ヶ月以上15年以下の懲役が課されます。
未成年飲酒をすすめた場合の罪として紹介した4種類の刑罰の中でも、保護責任者遺棄致死罪は最も重い処罰です。
未成年飲酒をすすめると損害賠償金を求められる可能性もある
未成年に飲酒をすすめた結果として、酔いつぶれて転倒したことで怪我をしたり、急性アルコール中毒になってしまうこともあります。
そのような場合は民事上における不法行為責任(民法709条)に問われ、慰謝料や治療費を請求される可能性もあるでしょう。
死亡や後遺症などの重大な結果が生じたことで1億円を超えるような莫大な損害賠償額を請求された事例もありました。
未成年の飲酒にはさまざま危険やリスクが伴うことと、もしも命にかかわる問題が起きてしまった場合にどうなるのかを理解しておかなくてはなりません。
未成年飲酒は何が悪い?お酒を飲むとどうなるのか解説

未成年の飲酒が禁止されている理由としては、身体上の発育に関する問題だけでなく精神的や社会的にも大きな影響を及ぼす可能性があることが挙げられます。
「未成年飲酒」と聞くと漠然と体に悪そうなイメージがあるかと思いますが、具体的に何が悪いのか、どうなるのかが気になる方も多いのではないでしょうか?
ここでは未成年の飲酒による「身体的な悪影響・精神的な悪影響・社会的な悪影響」の代表的な例をそれぞれ解説します。
- 脳や身体の発達の遅れ
- アルコール中毒
- 犯罪や事故の可能性
未成年飲酒による身体的な悪影響:脳や身体の発達の遅れ
未成年が飲酒した場合は、成長過程にある脳や体の健全な成長が妨げられてしまう可能性があります。
脳は特に飲酒による影響を受けやすく、神経細胞が破壊されたり早い時期から脳萎縮が起きたりする可能性もあるでしょう。
またアルコールによって二次性徴が阻害されて、女性の場合は生理不順や無月経などの月経トラブルが発生するケースもあり非常に危険です。
その他にも肝機能に大きな影響を与えることが分かっているため、未成年のアルコール摂取は成長を妨げることで健康な体を失うリスクがある点について正しく理解しておく必要があります。
未成年飲酒による精神的な悪影響:アルコール中毒
15歳以下からアルコールを摂取している場合は、21歳以上から飲み始めた人と比べてアルコール依存症のリスクが3倍以上上がるという調査結果もあります。
その他にも集中力がなくなることによる学力低下や、怒りっぽくなったり自暴自棄に陥ってしまったりと、精神的に大きなダメージを受けることもあるでしょう。
身体的な影響だけでなく、精神にも大きな影響を及ぼした結果としてうつ病を発症するなど、その後の人生に大きく関わる問題へと発展することもあります。
アルコールは依存性が高いものだということを理解しておく、認識しておくことが未成年飲酒防止のために欠かせないことです。
未成年飲酒による社会的な悪影響:犯罪や事故の可能性
未成年の飲酒による交通事故や性犯罪は後を立たず、大きな社会問題となっています。
理性が効かないほどにアルコールを摂取してしまい暴力行為などの事件を起こしてしまったり、不慮の事故に巻き込まれるケースもあるでしょう。
未成年の飲酒は、たった一度の過ちでも今後の学校生活や仕事に大きな影響を及ぼす可能性があります。
身の回りの人に迷惑をかけたり自分の人生を狂わせてしまうなど、社会的な悪影響があることも忘れてはいけません。
未成年飲酒を見つけたら警察に通報した方がいい?

未成年の飲酒を見つけた場合は、飲酒を止めさせたり注意が必要なことは分かっているものの、実際にどのように対応すればいいのかが分からない方も多いでしょう。
自分だけで対処できない場合には、警察に通報することを思い浮かべる方も居るのではないでしょうか。
ここでは、もし未成年飲酒が警察にバレたら具体的にどうなるのかを解説するので、未成年飲酒を通報したら警察がどのように対応するのかについても知っておきましょう。
未成年飲酒は現行犯のみ補導や注意の対象になる
未成年の飲酒について通報があった場合は、現行犯のみ補導や注意・助言の対象となります。
基本的には警察によって厳重注意を受ける対処となるものの、深夜徘徊も伴う場合には保護者や学校に連絡が行く場合もあるでしょう。
各自治体が定める「青少年健全育成条例」によって深夜とされる時間帯にはそれぞれ違いがあり、22時以降や23時以降など規定の内容には違いがあります。
未成年飲酒やそれに伴う深夜徘徊の通報によって逮捕されることはありませんが補導される可能性はあるため、状況に応じて適切な対処を受けることを覚えておくといいでしょう。
未成年の補導対象となる事例を一覧でご紹介
未成年が補導されるのは、具体的にどのようなケースでしょうか。
ここでは、未成年の補導対象となる事例を一覧にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
未成年の補導には飲酒や深夜徘徊の他にも、さまざまなものがあります。
未成年が補導の対象となる具体的な事例一覧
項目 | 内容 |
---|---|
飲酒 | 酒類を飲用する、または飲用目的で所持する行為 |
喫煙 | 喫煙する、または喫煙目的でたばこや喫煙具を所持する行為 |
薬物乱用 | 心身に悪影響を及ぼす可能性がある薬物を乱用する、または乱用目的で薬物を所持する行為 |
粗暴行為 | 暴行や脅迫、器物破損などの危険性がある粗暴行為 |
刃物等所持 | 正当な理由がないにも関わらず、刃物や木刀、鉄棒など危険性が高い刃物等を所持する行為 |
金品不正要求 | 正当な理由がないにも関わらず、相手に対し金品の交付や貸与などを不当に求める行為 |
金品持ち出し | 保護者などの金品を勝手に持ち出す行為 |
性的いたずら | 性的いたずらをする、性的な不安を相手に感じさせる行為 |
暴走行為 | 自動車やバイクの運転において、危険な運転や、迷惑を行為をすること、または行動を共にする行為 |
家出 | 正当な理由がないにも関わらず、自宅に帰宅しない行為 |
無断外泊 | 正当な理由がないにも関わらず、保護者に無断で外泊する行為 |
深夜徘徊 | 正当な理由がないにも関わらず、深夜に徘徊する、もしくはたむろする行為 |
怠学 | 正当な理由がないにも関わらず、学校を休んだり、早退をしたりする行為 |
不健全性的行為 | 売春や風俗など、健全な育成の妨げとなるような性的行為 |
不良交友 | 犯罪を犯す危険性がある人など、健全な育成の妨げとなるような人と交友を持つ行為 |
不健全娯楽 | 健全な育成の妨げとなるような娯楽やそれに伴う行為 |
未成年飲酒が警察にバレたらどうなる?周りの人も捕まるのか解説まとめ
今回は未成年飲酒が警察にバレたらどうなるのかについて、具体的な対処の内容をご紹介しました。
未成年飲酒は心身共にダメージを受ける可能があり社会的な悪影響が心配されるほか、未成年飲酒禁止法によって未成年の飲酒は禁止されているため、飲酒が判明した場合には一緒にいた大人や酒を販売したお店が処罰を受ける可能性があります。
また、飲酒によって未成年がアルコール中毒となった場合や事件に巻き込まれた場合などは、一緒にいた人が刑事罰に問われる可能性もあるでしょう。
未成年飲酒がバレたら飲酒が原因で捕まったり処罰されたりすることはありませんが、自分の生活や一緒にいた周りの人が置かれる環境が一変してしまう危険性があることを認識しておくことが大切です。