葉巻や紙タバコを楽しみたいけれど、どっちがより体に悪いのか気になるという方も多いのではないでしょうか。
結論としては、喫煙方法や銘柄によってニコチンやタールの量は異なるため、どっちがより害があるとは言えず、喫煙頻度や吸い方にも依存するという結果になります。
本記事では、葉巻と紙タバコをさまざまな視点から比較し、葉巻についても詳しく解説していますので、ぜひご自身の喫煙スタイルの確立に役立てて下さい。
目次
葉巻と紙タバコの違いと体への影響

ここでは、構造上の違いや体に悪い影響を及ぼす理由など、どのような健康上のリスクがあるかを解説します。
他にも、葉巻と紙タバコの主な喫煙方法や添加物の違いを参考に、体への影響を比較していきます。
どっちが体に良いとは言えませんが、ニコチンやタールなどの含有量の違いや周囲への影響もふまえて、ご自身の喫煙スタイルの確立に役立てて下さい。
葉巻と紙タバコの構造上の違い
紙タバコは細かく砕いた刻(きざみ)を紙で包み、吸い口にフィルターが使用されているのに対し、葉巻はたばこ葉以外ほぼ使用されていません。
芯となるフィラー・それを包むバインダー・外側から覆うラッパーの三層構造で作られており、フィラーとなるたばこ葉の種類や組み合わせによってブランド化されています。
またリトルシガーは葉巻ですが、ペーパーにたばこの葉が混ぜられているという点が紙タバコと共通しています。
一時期は葉巻としてたばこ税が優遇されていましたが、現在は紙タバコと同じ税率に引き上げられています。
ニコチンとタールの含有量の違い
葉巻にはニコチンやタールの表示義務がありませんが、1本あたりおよそ紙タバコ1箱分のニコチンが含まれると言われています。
米国立がん研究所の調査によれば、ニコチン含有量は乾燥葉1g当たり5.9mg~335.2mgとなっており、葉巻にニコチン・タールの表記がないとはいえ、どっちも体に悪い影響があるのは間違いありません。
タールの含有量についても、正式な公表ではありませんが、紙タバコのニコチンとタールの比率を参考に、葉巻にもニコチンの約10倍の量のタールが含まれると考えられています。
吸い方の違いによる体への影響
葉巻は紙タバコよりも多くのたばこ葉を含むため、タールとニコチンの量は多いですが、一概に葉巻の方が悪いとは言えません。
葉巻の吸い方は口腔内で煙の味わいを、鼻から出す際に香りを楽しむ人が多く、実際に体内に吸収される量は少ない可能性があります。
一方で、紙タバコの吸い方は煙を肺に入れるために多くのタールとニコチンが取り込まれる可能性があり、葉巻よりも体に悪い影響を与える可能性が高いでしょう。
添加物の違いが及ぼす健康被害の差
葉巻は基本的に添加物をほとんど含みませんが、紙タバコには多くの添加物が使用されています。
主な添加物として、香料・保存料・乳化剤など最大8種類が使用されており、香りづけや刻(きざみ)と呼ばれる細かく砕いたたばこ葉の保湿や品質維持に必要な成分です。
吸いやすさを向上させる一方で、有害物質の生成を促す可能性があり、将来的にどのような影響が出るのか不明な点も多いため、特に紙タバコは未知の健康被害が懸念されるでしょう。
受動喫煙の影響はどっちが大きいのか
葉巻は、ほぼ100%たばこ葉でできており、ニコチンや一酸化炭素の含有量が多く、喫煙時間も長いことから長時間体に悪い影響を与えるでしょう。
一方、紙タバコの煙は添加物が多く含まれており、一日に何度も繰り返し喫煙するケースが多いことから体に悪い影響があると考えられます。
どっちも有害物質を含むことには変わりませんが、葉巻は基本的に屋内で喫煙することを考えると、たばこを吸わない人への影響は紙タバコの方が大きいと言えます。
葉巻特有の健康リスク
葉巻はどちらかと言えば煙を口に含んでその香りを楽しむ目的の人が多く、肺への影響は紙タバコに比べると少なくなります。
しかし、これにより口の中に発がん物質がとどまる時間が長くなり、口腔がんや咽頭がんのリスクが増えることから、体に悪い影響を及ぼす点では同じです。
加えて葉巻の煙は紙タバコよりも濃厚で、一酸化炭素の含有量も多いため、心血管疾患のリスクが懸念されるでしょう。
紙タバコ特有の健康リスク
紙タバコはフィルターを通して直接肺まで煙を吸い込むため、肺がんのリスクが著しく高まります。
また、紙タバコには数千種類の化学物質が含まれていますが、その多くが有害で発がん性を持っており、体に悪いことは否めません。
特に燃焼温度が高いことで生成される有害物質は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の原因となる物質が含まれており、循環器系疾患や歯周病リスクの上昇も懸念事項です。
葉巻とは何か

葉巻とはタバコの葉を三層に束ねたもので、その上からさらに葉巻のブランドが判るよう施されたシガーリングが巻かれています。
理由は諸説ありますが、ブランドごとに意匠を凝らしたシガーリングはデザインも高く、コレクションとしても人気があります。
また1つ1つ職人の手によって、昔ながらの製法で作られる葉巻はプレミアムシガーと呼ばれ、その歴史も含めて世界中の愛好家から好まれている製造方法です。
葉巻の歴史
葉巻の歴史は古く、1492年、コロンブスがアメリカ大陸発見時に、先住民が葉巻を吸っていたのを目撃しその存在が知られるようになりました。
16世紀にはヨーロッパに伝わり、特にスペインとポルトガルでその人気が高まり、その後キューバを中心に高品質な葉巻が作られはじめます。
そこから葉巻が認知され多くの人に求められるようになり、現存するプレミアムシガーとドライシガーとして現在の葉巻につながっています。
日本製の葉巻
現存する日本産のたばこ葉が使用された葉巻は「トキ」1種類のみとなっており、国産のたばこ葉を一部用いて海外で委託製造されているプレミアムシガーです。
かつての国産最高級品パンドールの再現を目指し「朱鷺(トキ)」という名称で鴇(トキ)色のパッケージを用いたとされています。
現在ドミニカ共和国が委託を受けて製造しており、シガートキは1本あたり税込940円、一回り大きいシガーロブストは1本あたり税込2,000円で現在も購入が可能です。
葉巻の種類
葉巻は製造方法によって大きく2つに分かれ、全てが手作業で作られる「プレミアムシガー」と、ほとんどの作業が機械で行われる「ドライシガー」に分かれます。
プレミアムシガーはその製造方法から高価になることが多く、しかも温度や湿度の影響を受けやすいため品質管理が非常に重要です。
一方でドライシガーは「フィラー(芯)」に砕いたたばこ葉を使用しており、手頃な価格で楽しめるうえ保管も容易なことから初めての人でも試しやすいでしょう。
葉巻を吸うために使用する道具
葉巻を楽しむにはさまざまな道具が必要ですが、葉巻を吸ったことがない状態でいきなり全てを揃えるのはハードルが高く感じるかも知れません。
そんな時はシガーバーでまず試してみて、気に入った道具が見つかったり、好みの葉巻に出会ってから買いそろえるのも一つの手です。
ここでは5つの道具を解説していますが、全てを買い揃えなければ葉巻を楽しめないわけではありませんので、そんな道具もあるのかと楽しんでいただければ幸いです。
ライター・マッチ

葉巻は紙タバコと違って火をつけるのにも時間が掛かるため、短いマッチではすぐに燃え尽きてしまい葉巻を吸うには向きません。
柄の長いシガー用のマッチや、匂いの少ないガスライターを使用し、全体的にまんべんなく点火していく必要があります。
使い捨てのガスライターでも代用できますが、本格的に葉巻を楽しむならお気に入りを探してみるのもおすすめです。
シガーカッター

丸みを帯びた「ヘッド」と呼ばれる吸い口をカッターで切り落として初めて葉巻は吸えるようになります。
カッターの形状には大きく3種類あり、穴を開けるタイプの「パンチ・カッター」、穴に葉巻を通して先端を切り落とす「ギロチン・カッター」、はさみのように切れる「シザー」です。
「シザー」が扱いやすくおすすめですが、切り口の大きさによって風味や味の濃さも変わるため、慣れた人がいれば教えてもらいましょう。
シガー用灰皿

葉巻を吸う際は、灰皿も紙タバコの時とは異なるものを準備した方が良く、葉巻を寝かせておけるだけの深く長い溝があるものがおすすめです。
理由としては、温度が上がりすぎないよう一定の速度でゆっくりと味わうためで、紙タバコの時のように火を消すだけの道具ではありません。
葉巻をたしなむ際は灰皿も専用のものを準備するようにしましょう。
シガーケース

シガーケースとは、主に葉巻を持ち運ぶために使用されるケースのことで、ボックスやチューブタイプが一般的です。
どっちも葉巻の形を維持するために使用され、たばこ葉が零れ落ちるのを防いだり、ラッパーがほどけたりするのを防ぐ役目があります。
金属製やレザー製など素材の豊富さもさることながら、さまざまな形状のケースが存在するため1つに決めるのは難しいかもしれません。
シガーボックス

シガーボックスとは、プレミアムシガーを最高の状態に維持するための保管箱で、別名ヒュミドールとも呼ばれています。
箱の中には加湿器と湿度計が備えられており、乾燥を防ぐほか害虫も防ぐ効果があるため、プレミアムシガーをたしなむなら必ず1つは持っておきたい一品です。
主にガラストップと木製蓋の2種類あり、中を見て楽しみたいならガラストップがおすすめですが、日光が当たると品質が落ちる点には注意が必要です。
シガーバーとは
シガーバーとは、古くから葉巻愛好家が集う場所として、現在も人気を集めている葉巻を楽しむためのバーです。
通常の飲食店とは異なり葉巻の喫煙が許可されていて、専門的な知識を持つスタッフが葉巻の選び方や楽しみ方をアドバイスしてくれます。
葉巻とともにワインやブランデーなどのお酒を楽しむことができるため、葉巻が初めての人でも落ち着いた雰囲気の中で大人の時間を楽しめるでしょう。
葉巻と紙タバコのコスト面での比較

一般的な紙タバコは1箱500円程度ですが、葉巻は1本あたり数百円から数千円と紙タバコと比べてコストがかかります。
ドライシガーでも1本500円~1,500円ほどで販売されており、プレミアムシガーにいたっては1本あたり2,000円~5,000円以上ということも珍しくありません。
ただし、ニコチンを摂取する目的の紙タバコと比べ、葉巻は喫煙そのものを楽しみたい人が多く、1本あたりの満足度が高いため本数は抑えられる傾向にあります。
喫煙頻度の違いと禁煙の難しさ

紙タバコは短時間で吸えることから、1日に何度も繰り返し喫煙する傾向にあり、依存性は非常に高いといえます。
一方で葉巻は長く楽しむため喫煙頻度は低いものの、1本が紙タバコ1箱分に相当することをふまえると、決して依存性がないとは言えません。
しかし葉巻を吸う人は、落ち着ける環境でなければ吸わないという人も多く、どっちの方が禁煙が難しいかと問われるとやはり人によるという回答になるでしょう。
葉巻と紙タバコ、結局どっちが体に悪いのか|まとめ
さまざまな視点から葉巻と紙タバコについてお伝えしてきましたが、結局は「どっちも体に悪いが、吸い方や選ぶ銘柄によっても差が出る」という結論になります。
とはいえ、添加物という視点で見れば紙タバコの方が有害物質が多く含まれており、受動喫煙の面でいえば頻度は紙タバコ、一度に出る有害物質の量は葉巻の方が悪いということが分かりました。
本記事が、少しでもご自身にあった喫煙スタイルを確立するための参考になれば幸いです。