一時期はコンビニのレジ横にドーナツが並べられていましたが、いつの間にか消えてしまいましたよね。
コンビニのドーナツがいつの間にか販売終了していることから、コンビニからドーナツが消えた理由が気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、レジ横のコンビニドーナツがなぜ消えたのかについて、大手ドーナツチェーンのミスドと比較したうえで販売終了した理由を解説していきます。
コンビニとミスドのドーナツの違いや、事業撤退までの経緯を詳しく紹介していますので、気になる方はぜひ最後までご覧ください。
目次
コンビニの「レジ横ドーナツ」が消えたのはなぜ?終了した3つの理由を解説
数年前は、コンビニの揚げ物や焼き鳥などのホットスナックコーナーの近くに通称「レジ横ドーナツ」が販売されていました。
その後、いつの間にかひっそりと姿を消してしまいましたが、その理由が気になるところですよね。
まずはコンビニがレジ横ドーナツの販売を終了した3つの理由について詳しく解説してきます。
- コーヒーと一緒に買うことが定着しなかった
- ドーナツ市場の規模を掴めなかった
- ミスドの違いを明確にできなかった
コンビニドーナツが失敗・消えた理由①:コーヒーと一緒に買うことが定着しなかった
まずコンビニドーナツが失敗した理由として、コーヒーと一緒に買う文化が定着しなかったことが挙げられます。
そもそもコンビニがドーナツを売り出そうとした理由のひとつとして、コンビニのコーヒーが大ヒットしたことが背景にあることから、コーヒーと一緒に買ってもらおうという狙いでドーナツの販売が始まりました。
しかし、コーヒーが片手で飲める手軽さはヒットしたものの、もう片方の手でドーナツを食べるというスタイルは日本人にはあわなかったのでしょう。
このことによって当初コンビニが狙っていたドーナツの「ついで買い」がうまく伸びず、想定していたほどの売り上げには至らなかったようです。
コンビニドーナツが失敗・消えた理由②:ドーナツ市場の規模を掴めなかった
ドーナツチェーン最大手のミスタードーナツですら7年間で売り上げが3割縮小していたなど、そもそもドーナツ市場自体が縮小傾向にあったことをご存知でしょうか。
ドーナツ市場が縮小傾向であることをコンビニ各社の経営陣が読み切れていなかったことも、コンビニドーナツが失敗した理由として挙げられます。
コンビニコーヒーは大ヒットによってコーヒー市場そのものを広げることに寄与しましたが、ミスド全店舗の年間売上が914億円だったため、小さなドーナツ市場のパイをコンビニとミスドで取り合う形になってしまったのです。
このように、ドーナツ市場の規模を見誤ったことから各コンビニは売り上げをうまく伸ばすことが出来ず、最終的にはドーナツ事業から撤退する形となってしまいました。
コンビニドーナツが失敗・消えた理由③:ミスドの違いを明確にできなかった
コンビニドーナツは見た目や価格帯などのミスドとの違いを消費者にうまく伝えきれなかったため、コンビニ独自の明確な強みを打ち出すことに失敗しました。
そのため、お客さんがコンビニのドーナツを買う理由が生まれにくい状況があり、徐々に売り上げが低下してしまいます。
コンビニドーナツならではのオリジナルヒット商品でユーザーの心をつかむことができれば、今もレジ横にドーナツが並んでいた可能性はあったと言えるでしょう。
コンビニドーナツとミスドのドーナツの4つの違いを徹底比較!
コンビニのドーナツを食べたことがある人の中には、ミスドのドーナツとの違いがよく分からなかったという方もいるのではないでしょうか。
ここからは、コンビニとミスドのドーナツの4つの違いについてそれぞれ解説していきます。
- 値段・価格
- 種類の豊富さやオリジナル性
- 食感や味わい
- 工場での製造か店内製造か
コンビニとミスドのドーナツの違い①:値段・価格
ドーナツの最安値には大きな違いはありませんが、最高値にはコンビニとミスドで顕著な違いが見られます。
最安値 | 最高値 | |
---|---|---|
コンビニ | 108円 | 149円 |
ミスド | 110円 | 264円 |
コンビニはコーヒーのお供としてお手軽にドーナツを買ってもらおうという狙いだったので、なるべく価格帯を低くしたラインナップとなっていますね。
それに対してミスドは最高値が264円となっていますが、これはあえて高級路線を打ち出すことで差別化を図った結果だと言えるでしょう。
コンビニとの差別化を図るために低価格帯のドーナツはそのままに、高級感のあるドーナツを全面に押し出すミスドの戦略は結果的に大成功となりました。
コンビニとミスドのドーナツの違い②:種類の豊富さやオリジナル性
結論から言うと、ミスドはドーナツ市場をほぼ独占していただけあって、ドーナツの種類の豊富さやオリジナリティにおいてもコンビニを圧倒していますね。
種類 | オリジナリティ | |
---|---|---|
コンビニ | 10種類以上 | △ |
ミスド | 30種類以上 | ◎ |
ドーナツのオリジナリティに関しては、ミスドの「チョコファッション」とセブンイレブンの「オールドファッション」の見た目が酷似しているとしてパクリ疑惑まで持ち上がり、大きな話題となりました。
先にさまざまな種類のドーナツを開発してきたミスドにはパクリ行為を行う必要すらなかった訳ですが、コンビニのドーナツはパクリ疑惑が生まれたことからも新しいドーナツづくりで大きく苦戦した様子が伺えますね。
種類の豊富さやオリジナリティでミスドを出し抜けなかったことも、コンビニドーナツが撤退した理由のひとつと言えるでしょう。
コンビニとミスドのドーナツの違い③:食感や味わい
やはりミスドは専門店なだけあってチョコレートやストロベリーチョコの品質が高く、深みのある甘さが特徴的ですね。
食感 | 味わい | |
---|---|---|
コンビニ | 少しパサつく | 甘みが淡白 |
ミスド | モチモチしている | 濃厚で深い甘み |
食感 | 味わい | |
---|---|---|
コンビニ | 少しパサつく | 甘みが淡白 |
ミスド | モチモチしている | 濃厚で深い甘み |
またドーナツの生地に関してもマズいとまでは思わなかったものの、ミスドのドーナツに比べるとパサついた食感に感じられることが多く、ドーナツ生地の品質ではミスドに敵わないところがありました。
ドーナツの形自体はミスドによく似ていますが、それだけに食べ比べてみると専門店の質の高さが浮き彫りになるという結果となりました。
コンビニとミスドのドーナツの違い④:工場での製造か店内製造か
コンビニのドーナツは店内ではなくセントラルキッチンという工場で製造されており、3時間以内に最寄りのコンビニ店舗へ配送された後にショーケースに並べられます。
一方でミスドは店内調理ですから、出来たてふわふわのドーナツをすぐに購入して食べられることが大きな強みですね。
ドーナツの製造場所 | |
---|---|
コンビニ | 工場製造 |
ミスド | 店内製造 |
ミスドはコンビニドーナツとの差別化を可視化するべく、ドーナツを店内調理する様子が外から見えるように店舗の内装に変化を加えました。
この手法によって、ミスドのドーナツが店内調理で出来たてのものであることをより広い層に認知させることができ、高いクオリティを求める客層の獲得に成功しています。
セブン・ファミマ・ローソンなどのコンビニでドーナツが登場した経緯を解説
そもそも、どういった経緯でコンビニでもドーナツを売ることになったのかも知りたくなりますよね。
最後にセブン・ファミマ・ローソンでドーナツが売られはじめた経緯について詳しく解説していきます。
2014年にセブンイレブンがレジ横ドーナツの販売をスタート
2014年にコーヒーが大ヒットしたことを背景に、セブンイレブンがレジ横でドーナツの販売をスタートしました。
100~130円という低価格で販売されたドーナツは、生産から数時間以内で店舗に陳列されるオペレーションによって、作りたての美味しさを提供したことで当時は大ヒットを記録しています。
その後2015年4月までにセブンイレブン6,000店舗でドーナツの取り扱いを開始しましたが、この時点でミスタードーナツの国内外の店舗数を大きく超えています。
2015年よりファミリーマートとローソンもドーナツ事業に参入
2015年にはセブンイレブンの後を追う形でファミリーマートとローソンもドーナツ事業に参入しており、それぞれ独自の戦略でミスドやほかのコンビニとの差別化を図りました。
ローソンは店内で提供しているコーヒーを値下げすることでお客さんの数を増やして、ドーナツの売上を伸ばす戦略に出ました。
一方でファミリーマートはパンコーナーで袋入りドーナツを販売していましたが、ドーナツの外装を洗練させるなどドーナツの品質を高めることによって、高級感を前面に押し出して他社との差別化を図っています。
このことによって、コンビニ大手3社がドーナツ事業においても競い合う関係性へと発展していきます。
予想よりも売上が伸びずコンビニはドーナツ事業から撤退
コンビニ大手3社が勢いよくドーナツ事業を拡大したものの、その後予想以上に売上が伸びなかったことから撤退を余儀なくされました。
ドーナツの販売を開始した2014年には、1店舗の1日の販売個数が100個を超えるなど売れ行きも好調でしたが、2015年の夏頃からはその勢いも低下しています。
セブンイレブン・ローソン・ファミリーマートの各社が商品のリニューアルや独自のラインナップによって挽回を図るも、コンビニドーナツの売り上げを伸ばすまでには至らなかったようです。
最終的にはコンビニ大手3社がドーナツの販売を終了して、結果的にミスドが粘り勝ちした構図となりました。
ミスド側にはドーナツ事業にコンビニが参入した影響はあまりなかった
当初はコンビニの圧倒的な店舗数によるネットワークにより大打撃を受けることが予想されたミスドでしたが、コンビニ各社のドーナツ事業への参入による影響はそこまで大きくはありませんでした。
ミスドはコンビニが参入する前年より業績が低下していましたが、運営元の株式会社ダスキンによればコンビニが参入した年の売上の低下度合いは概ね想定内だったようです。
そもそもコンビニはついで買いでドーナツを買われることが多いですが、ミスドはドーナツを目的に来店する方が多いことから、購入者の動機や目的が異なるため過酷な市場の食い合いにまでは発展していません。
ミスドというドーナツ市場の王者がその座を譲らなかったという形で、コンビニとミスドのドーナツ市場での競争に幕を下ろしています。
【まとめ】コンビニのドーナツはなぜ消えた?失敗の理由をミスドと比較して解説
今回の記事では、コンビニのレジ横ドーナツが消えてしまった理由をミスドと比較しながら解説しました。
大ヒットしたコンビニコーヒーのお供として販売当初は順調な売れ行きだったドーナツですが、徐々に売れ行きが低下したことで販売終了となり、現在は市場から撤退しています。
ミスドへの影響はコンビニと顧客の層が違うことから想定内の売り上げ低下にとどまっており、コンビニが事業を撤退してミスドが持ちこたえた形で終了しました。
レジ横ドーナツは消えてしまいましたが、コンビニ各社では袋詰めのドーナツが売られていますので、各コンビニやミスドのドーナツの違いに興味のある方は試してみてはいかがでしょうか?