年末の定番となっている年越しそばは「昼食で食べる人」「夕食で食べる人」「年を越す瞬間に食べる人」と人によって食べるタイミングが異なりますが、いつ食べるのが正しいのでしょうか?
結論から言うと、年越しそばを食べる時間に決まりは無いので何時に食べても良い上、地域によっては年明けに食べる場合もあります。
本記事では年越しそばはいつ食べるのが正しいのか解説していくと共に、地域別で変わる年越しそばの特徴や年越しそばの由来・意味について詳しく解説していきます。
目次
年越しそばはいつ食べるのが正しいのか解説
年越しそばは家庭によって何時に食べるのかが細かく異なり、夕食としてではなく昼食で年越しそばを食べるという人もいますが何時に食べるのが正しいのでしょうか?
冒頭でも述べた通り、年越しそばを食べる時間に決まりは無いので何時に食べても良いです。昼食でも夕食でも、好きなタイミングで年越しそばを楽しみましょう。
本項目では、年越しそばはいつ食べるのが正しいかについて詳しく解説すると共に、年越しそばを食べる時の注意点もご紹介します。
年越しそばを食べるのはお昼でもいい!いつ食べるのか決まりは無い
家庭によって昼食時や夕食時、年を越す直前など年越しそばを食べるタイミングが違うため「年越しそばはいつ食べるのが正しいの?」と疑問を持っている方は多くいると思います。
実は、年越しそばをいつ食べるのが正しいのかといった明確な決まりは無いので何時に食べても問題ありません。
そのため、昼食でも夕食でも1日の中で都合の良い時間に合わせて年越しそばを食べて良いということになります。
1年の厄を払えるように年明けまでに食べ切ることが大事
いつ食べるのか決まりが無いので何時に食べても良い年越しそばですが、年越しそばを食べ終わるタイミングに関して1つだけ注意すべき点があります。
年越しそばには「切れやすいそばを食べて、苦労や厄災と切り捨てる」という意味が込められているのです。
よって、1年の苦労や厄災を切り捨てて縁起の良い新年を迎えられるように大晦日と新年を跨いで年越しそばを食べることは避け、できるだけ大晦日のうちに食べ切るようにしましょう。
年越しそばは大晦日の夜に食べる人が多い
年越しそばをいつ食べるのかという明確な決まりはありませんが、実際のところ世間の人々は何時ごろに年越しそばを食べているのでしょうか?
筆者が調査したところ一般的に年越しそばは夜に食べる人が多く、夕食として食べたり年越し前に夜食として食べる人が大半を占めているようです。
夕食として食べるか年越し前に夜食として食べるかについては意見が半分に割れていますが、北日本や九州では夕食とは別に楽しむ方が多いという特徴がありました。
年越しそばは食べない?年明け後にそばを食べる地域をご紹介

ここまでは、年越しそばをいつ食べるのが正しいのかについて詳しくご紹介してきました。
特に何時に食べるという決まりは無くいつ食べても良い年越しそばですが、地域によっては年明けに食べる場所もあるようです。
この項目では年明けにそばを食べる地域をご紹介すると共に、それぞれの地域が年明けにそばを食べる理由についても解説していきます。
年明けに食べるそば①:会津地方の「お正月そば」
福島県の会津地方の一部には「元旦そば、二日もち、三日とろろ」という言葉があり、その言葉に由来して年明けにそばを食べる習慣が根付いているようです。
どの地域でもお正月にはごちそうを食べる習慣があるかと思いますが、会津地方ではそばが特別な食べ物とされているのですね。
会津地方の人々にとって特別で縁起が良い食べ物であるそばを年明けに食べることで「新年を景気良くスタートしよう」という願いが込められています。
年明けに食べるそば②:新潟県の「十四日そば」
新潟県の一部地域において、元旦ではなく小正月(1月15日)の前日である1月14日に「十四日そば」というそばが食べられています。
かつての新潟県では大晦日近くまで農繁期で忙しかったため、小正月を本正月としてお祝いしていました。この風習に由来して、現在でも年明け後の1月14日に十四日そばを食べるのです。
このように、その地域が1年の区切りをどこに持ってくるのかによって風習が異なるのも、年越しそばや年明けに食べるそばの面白いポイントですね!
年越しそばを大晦日に食べる意味や由来について解説

食べるのが大晦日でなく年明けであったとしても、全て1年の区切りという意味で食べられている年越しそばですが、いつから始まった風習なのでしょうか。
本項目では年越しそばがいつからどのように始まったのか、年越しそばの意味や由来について詳しく解説していくので参考にしてみてください。
年越しそばの意味や由来①:「晦日そば」
先ずご紹介する年越しそばの意味や由来の1つ目は、江戸時代に始まったとされている「晦日そば」という風習です。
晦日そばは、江戸時代の毎月の月末に江戸の商家の主人が奉公人の労をねぎらう目的でふるまっていたそばと言われています。
この「晦日そば」の風習が庶民の間にも徐々に広がり、大掃除などお正月の準備が終わった大晦日の日に年越しそばを食べるようになったようです。
年越しそばの意味や由来②:「節分そば」
続いてご紹介する年越しそばの意味や由来の2つ目は、江戸時代の後期に始まったとされている「節分そば」という風習です。
節分そばは、立春の前日・節分に食べられるそばのことで、旧暦の12月末日(大晦日)と数日しか離れていない節分に食べられるようになりました。
現代の節分にも豆を撒いて悪疫を退散させるという意味がありますが、節分そばも同様に季節の変わり目である節分にそばを食べることで良い新年を迎えようという願いが込められています。
年末にそばを食べる習慣は年越しそばの前からあった
年越しそばの風習が広まったのは江戸時代ですが、実はそれ以前から年末にそばを食べるという風習は存在していました。
鎌倉時代に博多の承天寺でそばを使った餅を商人が町人にふるまった翌年から町人たちに幸運が訪れるようになり、それをきっかけにふるまわれたそばを「運そば」「世直しそば」と呼んでいたようです。
この出来事から翌年の幸運を願って年末にそばを食べる風習が根付き、現代まで続いている年越しそばの由来になったのではないかと言われています。
年越しそばを食べる意味は?様々な説について解説

ここまでは年越しそばの始まりや由来について詳しく解説してきました。
「晦日そば」や「節分そば」が次第に年末に食べる「年越しそば」へと変わっていきましたが、何故大晦日に食べるのは「そば」なのでしょうか。
この項目では、なぜ大晦日に食べるのがうどん等ではなくそばなのか、その意味について詳しく解説していきます。
- 苦労や厄災を切り捨てる
- 長寿を願う
- お金が集まるように
- 健康を願って
年越しそばを食べる意味①:苦労や厄災を切り捨てる
年越しそばを食べる意味の1つ目は最もよく言われる「苦労や厄災を切り捨てる」というものです。
他の麺類に比べてそばは切れやすいという特徴があり、今年あった苦労や厄災を新年に持ち越さないように切り捨てようという意味があります。
悪いものと縁を切って新年を気持ち良く迎えたいという願いが込められているため、年明け前に食べ切るのが良いと言われています。
年越しそばを食べる意味②:長寿を願う
年越しそばを食べる意味の2つ目は「長寿を願う」というものです。
そばは細く長い形状をしていることから「長生きできますように」という願いが込められており、引っ越しの際にそばを配るのと似た意味を持っています。
「細く長く」というのがキーワードとなっているため、解釈によってはそばに限らずラーメンなど別の麺類を食べても良いとされています。
年越しそばを食べる意味③:お金が集まるように
年越しそばを食べる意味の3つ目は「お金が集まるように」というものです。
この説は、江戸時代の金細工職人が飛び散った金箔を集める際にそば粉で作った団子を使っていたのが由来になっています。
テープでホコリを集めるように、飛び散ってしまった金箔を団子にくっつけて回収していたことが由来となり「そば=金が集まる」ということで縁起物になったのです。
年越しそばを食べる意味④:健康を願って
年越しそばを食べる意味の4つ目は「健康を願って」というものです。
先ほどご紹介した「長寿を願う」と意味が似ていますが、雨風に打たれても日光に当たると元気になるというそばの特徴が由来となっています。
雨風に打たれてもすぐに元気になるそばの強さにあやかり、健康祈願のために年越しそばを食べるようになったと言われています。
食べるそばの種類が違う?地域別の年越しそばの特徴

ここまでは大晦日に食べられるのがうどんなどではなくそばなのか、年越しそばを食べる意味とその由来について解説してきました。
「長寿を願う」「厄災を切り捨てる」「健康を願う」など様々な意味で食べられる年越しそばですが、地域によって食べられているそばの種類が違います。
この項目では、それぞれの地域で食べられている年越しそばの特徴や由来について詳しく解説するので是非チェックしてみて下さい!
北海道の年越しそば:にしんそば
北海道では明治時代頃からにしんを使った「にしんそば」が年越しそばとして多く食べられています。
地方紙「小樽新聞」でにしんの調理方法が紹介されたことによって、一般の人々に広まったようです。
「にしんそば」は京都府でも年越しそばとしてよく食べられているようですが、北海道は濃い口しょうゆ、京都府は薄口しょうゆと味付けが違うようです。
東北・北陸の年越しそば:わんこそば
東北で特徴のある年越しそばは岩手県の郷土料理「わんこそば」で、「大晦日にわんこそばを年齢と同じ杯数食べると長生きできる」という言い伝えもあるようです。
北陸地方では四角い「へぎ」と呼ばれる器に「布海苔」という海藻を繋ぎに使った麺が盛られる新潟県の「へぎそば」が特徴的な年越しそばとして挙げられます。
その他にも福井県で食べられる大根おろしを使った「越前おろしそば」などの特徴的な年越しそばがあるようです。
中国・四国の年越しそば:釜揚げそば
中国地方では釜で茹でたそばをゆで汁と一緒にお椀に入れて甘辛いつゆをかけて食べる島根県の「釜揚げそば」が特徴のある年越しそばとして挙げられます。
また、うどんが有名な香川県は「年越しそば」ではなく「年越しうどん」が食べられている地域もあるようです。
1本1本が太くて長いうどんは「太く長く生きる」という意味が込められ、香川県では縁起物として大晦日にうんどが食べられています。
九州・沖縄の年越しそば:運そば
福岡県の一部では、鎌倉時代に商人が振舞ったそばを使った餅である「運そば」の名称が年越しそばに使われています。
また、沖縄県では「そば」といえば「沖縄そば」がポピュラーで年越しの際も「沖縄そば」や「ソーキそば」を食べるのが一般的です。
そのため、沖縄県の年越しそばはソーキや紅生姜、ねぎをトッピングしたものが用意されます。
年越しそばに関するよくある質問を解説

ここまで、年越しそばはいつ食べるのが正しいのか、年越しそばを食べる意味、地域別の特徴などについて解説してきました。
しかし、年越しそばに関する理解が深まる中で「年越しそばは絶対食べないといけないの?」「30日に食べるのは問題無い?」などの疑問を持った方もいるのではないでしょうか。
そこで最後に、年越しそばについてよくある質問について解説していくので、年越しそばに関して疑問のある方は是非参考にしてみてください!
- 年越しそばを食べないとどうなる?
- 30日に食べても大丈夫?
- 冷たい年越しそばでも問題ない?
年越しそばに関するよくある質問①:年越しそばを食べないとどうなる?
年越しそばを食べなければいけないという訳ではないので、食べたくないという方は無理に食べる必要はありません。
年越しそばを食べなかったことが原因で実害があったという話は聞かないので、年越しそばを食べなかったからといって何か起こるかもしれないと不安になる必要は無いです。
しかし、年越しそばは古くから縁起物として伝わってきた風習なので、親族の集まりなどで年越しそばを食べようとする場所にいる場合は大人の対応として食べることをおすすめします。
年越しそばに関するよくある質問②:12月30日に食べても大丈夫?
大晦日は誰もが忙しいですし、一足早く12月30日に年越しそばを食べてしまいたい方も居ますよね。年越しそばは30日に食べても年を越す前なので全く問題ありません。
元々商人の家庭が30日は忙しく手間をかけ食べる食事としてそばが食べられたことが由来とも言われていることからも問題無いと言えます。
ただし、現代の風習で考えると大晦日に年越しそばを食べるのが一般的ではあるので、特に理由が無ければ大晦日に1年の締めくくりとして年越しそばを食べると良いでしょう。
年越しそばに関するよくある質問③:冷たい年越しそばでも問題無い?
年越しそばと言うと温かい状態で食べるイメージがありますが、実は温かくても冷たくても年越しそばとしては問題無いようです。
寒い日に食べるから温かい年越しそば、そばの味を感じられる冷たい年越しそばを食べたいなど好みに合わせて食べましょう。
また、具材に関しても決まりが無いため、シンプルな年越しそばや地域別に紹介した特徴ある年越しそばなど、自分の好みのあったそばを試してみて下さい。
年越しそばの由来や地域別の特徴・いつ食べるのが正しいかについて解説まとめ
本記事では年越しそばはいつ食べるのが正しいのかや、年越しそばの由来・地域別の特徴について詳しく解説してきました。
年越しそばを食べる時間は決まっていないのでお昼など何時に食べても問題ありませんが、一般的には夜に食べる人が多いようです。
また、年明けにそばを食べる地域もあるようですが「厄災を切り捨てる」という意味合いからも、年を跨いで食べることは避けた方が良いでしょう。
地域によって食べている年越しそばの特徴は様々ですが、食べるそばの種類は決まっていないので、好みに合わせて好きな年越しそばを食べて縁起の良い新年を迎えて下さい!