近年タバコの代わりとして電子タバコを利用する人が増えていますが、電子タバコの副流煙は子供や赤ちゃんにとって無害なのでしょうか。
結論から言うと、電子タバコの副流煙は子供や赤ちゃんへの害は少ないと言われていますが、微量に有害物質も含まれており、危険性や健康被害の有無が全て解明されているわけではありません。
当記事では、電子タバコの副流煙が体に与える影響や、発生する水蒸気で肺が汚れる可能性・死亡例について解説していきます。
目次
電子タバコとはどんなタバコ?紙巻きタバコ・加熱式タバコとの違いを比較
電子タバコは体に無害なタバコの代替品として知られていますが、そもそも紙巻きタバコや加熱式タバコとはどう違うのでしょうか。
結論から言うと、電子タバコはタバコ葉を使用しておらず、ニコチンやタールといった紙巻きタバコ・加熱式タバコに含まれる有害物質が含まれていません。
ここでは、電子タバコと紙巻きタバコ・加熱式タバコとの違いを解説していきますので、電子タバコについてよく知らない方は参考にしてみてください。
電子タバコとはニコチン・タールを含まない水蒸気を楽しむ新型タバコ
電子タバコとは、紙巻きタバコや加熱式タバコに含まれる代表的な有害物質「ニコチン」「タール」を含んでいない健康被害リスクの少ないバコの代替品です。
電子タバコはリキッドと呼ばれるフレーバーの付いた液体を加熱し、発生する水蒸気を吸って口寂しい感覚を薄れさせたり、気分転換・ストレス解消するためのアイテムです。
ニコチンやタールによる健康への悪影響がなく依存性も低いことから、タバコに代わる嗜好品として近年注目を集めています。
電子タバコと紙巻きタバコ・加熱式タバコは「タバコ葉を使用しているか」などに違いがある
電子タバコと紙巻きタバコ・加熱式タバコの大きな違いとして「タバコ葉」を使用しているかどうかがあります。
紙巻きタバコや加熱式タバコではタバコ葉を燃やすまたは熱することにより発生する煙を吸いますが、日本国内で流通している電子タバコにはタバコ葉が含まれていません。
ニコチンやタールといった有害物質はタバコ葉由来のものであるため、タバコ葉を使用していない電子タバコからはニコチンやタールといった有害物質が発生しません。
電子タバコと紙巻きタバコ・加熱式タバコの違いを比較
電子 タバコ |
紙巻き タバコ |
加熱式 タバコ |
|
---|---|---|---|
煙の種類 | 水蒸気 | 副流煙 | 水蒸気 |
煙の量 | 多い | 多い | 極少 |
ニコチンの 有無 |
無し | 有り | 無し |
タールの 有無 |
無し | 有り | ほぼ無し |
タバコ葉の 使用 |
無し | 有り | 有り |
火の使用 | 無し | 有り | 無し |
吸殻の 有無 |
無し | 有り | 有り |
喫煙所以外での喫煙 | 可能 | 不可能 | 不可能 |
電子タバコの副流煙は有害?健康被害や体に悪い影響を解説
ここまで、電子タバコと紙巻きタバコ・加熱式タバコとの違いを解説してきましたが、電子タバコから発生する副流煙は無害なのでしょうか。
結論から言うと、電子タバコの副流煙が無害であると証明された事実はなく、呼吸器疾患・アレルギー疾患・心臓疾患など体に悪い影響があるとも言われています。
ここでは、電子タバコの副流煙が与えるとされる健康被害・体に悪い影響を3つご紹介していきます。
- 呼吸器疾患
- アレルギー疾患
- 心臓疾患
電子タバコの副流煙の健康被害・体に悪い影響①:呼吸器疾患
電子タバコの副流煙の健康被害・体に悪い影響1つ目は「咳が出る」「息が上がりやすくなる」といった呼吸器疾患です。
独立行政法人国民生活センターの調査では、日本国内で流通しているニコチンが含まれていないはずの電子タバコリキッドにも、わずかにニコチンが含まれているという結果が出ています。
ニコチンは酸素の運搬機能を低下させるので、電子タバコから出る水蒸気を受動喫煙した子供や赤ちゃんに呼吸器疾患が現れる可能性があります。
電子タバコの副流煙の健康被害・体に悪い影響②:アレルギー疾患
電子タバコの副流煙の健康被害・体に悪い影響2つ目は「目のかゆみ」「鼻詰まり」といったアレルギー疾患です。
電子タバコの副流煙にはシックハウス症候群の原因ともなる「ホルムアルデヒド」という有害物質が含まれており、目のかゆみや鼻詰まりといったアレルギー症状を引き起こします。
その他にも電子タバコの副流煙には銅やプロピレングリコールなどの発がん性物質が含まれるとの報告もあり、受動喫煙した子供・赤ちゃんにアレルギー疾患が出た場合には電子タバコによる影響が疑われます。
電子タバコの副流煙の健康被害・体に悪い影響③:心臓疾患
電子タバコの副流煙の健康被害・体に悪い影響3つ目は「心筋梗塞」「心臓発作」といった心臓疾患です。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校主導の研究によると、電子タバコを毎日吸っている人は心臓発作を起こす可能性が吸っていない人の2倍近くになると報告されています。
電子タバコには体への影響が完全に解明されていない化学物質が含まれている可能性もあり、その中には心臓疾患のリスクを高める物質も存在する可能性があります。
電子タバコに含まれている3つの成分の役割や主な用途とは?
ここまで、電子タバコの副流煙が与えるとされる健康被害・体に悪い影響について、呼吸器疾患・アレルギー疾患・心臓疾患の3つをご紹介してきました。
電子タバコにはさまざまな化学物質が含まれており、その代表的なものが「植物性グリセリン(VG)」「プロピレングリコール」「香料」の3つです。
ここでは、電子タバコに含まれる「植物性グリセリン(VG)」「プロピレングリコール」「香料」の3つの成分の役割や主な用途をそれぞれ解説していきます。
電子タバコのリキッドに含まれている成分①:植物性グリセリン(VG)
電子タバコのリキッドに含まれている成分1つ目は、リキッドの50%から70%の割合を占める植物性グリセリン(VG)です。
植物性グリセリン(VG)は主にココナッツ油やパーム油から生成される植物由来のグリセリンで、この植物性グリセリン(VG)の含まれる割合が高いほど発生する水蒸気の量が多くなります。
植物性グリセリン(VG)は、電子タバコリキッド以外にも医療品や食料品など身近に多く使用されている成分であり、健康への悪影響はない安全な成分です。
電子タバコのリキッドに含まれている「植物性グリセリン」の役割
成分名 | 植物性グリセリン |
---|---|
役割 | 水分を吸収する |
用途 | 化粧品・医薬品・食品添加物 |
電子タバコのリキッドに含まれている成分②:プロピレングリコール(PG)
電子タバコのリキッドに含まれている成分2つ目は、香料を溶かす性質のあるプロピレングリコール(PG)です。
プロピレングリコール(PG)はリキッドの30%から50%の割合を占めており、殺菌効果があることからリキッドを長期保存するための役割を担っています。
医療品や化粧品のベースとして使用されることが多く、加工食品にも使われている物質のため、健康へ与える悪影響はありません。
電子タバコのリキッドに含まれている「プロピレングリコール」の役割
成分名 | プロピレングリコール |
---|---|
役割 | リキッドを長期保存する |
用途 | 化粧品・医薬品・食品添加物 |
電子タバコのリキッドに含まれている成分③:香料
電子タバコのリキッドに含まれている成分3つ目は、電子タバコの味を決める香料です。
香料は電子タバコリキッドの味わいや香りを作るための成分であり、どのような組み合わせで添加するのかによってメーカーごとに違ったフレーバーが生まれます。
基本的には飲料や加工食品などにも含まれている人体への影響がない物質が使用されているので、有名メーカーのリキッドであれば香料由来の害を心配する必要はありません。
電子タバコのリキッドに含まれている「香料」の役割
成分名 | 香料 |
---|---|
役割 | 味わいや香りを作る |
用途 | 食品添加物 |
電子タバコの副流煙や水蒸気で肺が汚れることはあるのかを詳しく解説
ここまで、電子タバコには「植物性グリセリン(VG)」「プロピレングリコール(PG)」「香料」などの成分が含まれていることを解説してきました。
それでは、これらの成分が含まれている電子タバコの副流煙を受動喫煙することで、肺が汚れたり肺に水が溜まったりすることはあるのでしょうか。
ここでは、電子タバコを吸ったり副流煙を受動喫煙した際に肺に悪影響があるのかどうかについて解説していきます。
電子タバコを喫煙しても水蒸気で肺が汚れる心配はない
電子タバコを喫煙すると肺が汚れるかどうかについて、結論から言うと、電子タバコを喫煙しても水蒸気で肺が汚れる心配はありません。
喫煙によって肺が汚れる原因は紙巻きタバコ・加熱式タバコに含まれるタールにあり、電子タバコにはタールが含まれていないため肺が汚れることはありません。
つまり、紙巻きタバコ・加熱式タバコから電子タバコに代えることによって、肺の汚れやさまざまな肺の病気にかかるリスクを軽減させられます。
電子タバコの副流煙である水蒸気を吸引しても肺に水が溜まることはない
「水蒸気である電子タバコの副流煙を吸引すると肺に水が溜まる」といった噂もありますが、実際に電子タバコの水蒸気を吸引して肺に水が溜まることはありません。
そもそも電子タバコリキッドの成分に水は含まれておらず、発生する水蒸気を吸ったからといって肺に溜まることは体の構造的にありえません。
一度吸引した水蒸気は吐く際にほとんどが体外へと排出されるので、肺に水が溜まるのではないかと心配していた方も安心して利用ください。
電子タバコを赤ちゃんや子供の前で吸っても大丈夫?受動喫煙による副流煙の影響を解説
ここまで、電子タバコの副流煙や水蒸気を吸引しても、肺が汚れたり水が溜まったりといった悪影響はないとご紹介してきました。
紙巻きタバコ・加熱式タバコの代替品として健康への悪影響が少ない電子タバコですが、副流煙を受動喫煙する赤ちゃんや子供に与える影響はあるのでしょうか。
ここでは、電子タバコを赤ちゃん・子供の前で吸っても大丈夫なのか、受動喫煙による副流煙の影響を解説していきます。
電子タバコの副流煙は赤ちゃん・子供に害が少ないとされている
電子タバコの副流煙にはニコチンやタールといった有害物質が含まれておらず、紙巻きタバコ・加熱式タバコと比較すると赤ちゃんや子供への害は少ないとされています。
また、紙巻きタバコ・加熱式タバコの副流煙のようなタバコ臭さがなく、家具や衣服に臭いが付くこともないので周囲に与える不快感が少ないこともメリットです。
しかし、電子タバコリキッドそのものの香りが苦手だという方もいるので、害が少ないとはいえ周りへの配慮は必要です。
電子タバコの副流煙には少なからず有害物質が含まれている
- ホルムアルデヒド
- アセトアルデヒド
- アクロレイン
- プロパナール
- グリオキサール
電子タバコにニコチンやタールは含まれていませんが、上記のような有害物質が少なからず含まれていることが確認されています。
ホルムアルデヒドはシックハウス症候群の原因でもあり、目のかゆみや鼻詰まりといったアレルギー疾患を引き起こす成分なので、受動喫煙により赤ちゃんや子供へ健康被害を与えることが考えられます。
そのため、赤ちゃんや子供の前でも気にせずに喫煙するのではなく、ある程度の距離を取るといった配慮はするに越したことはありません。
電子タバコの副流煙による危険性や健康被害の有無が全て解明されている訳ではない
冒頭でもお伝えしましたが、電子タバコの副流煙には少なからず有害物質が含まれており、その危険性や健康被害の有無が全て解明されているわけではありません。
上記でご紹介した有害物質以外の物質が含まれている可能性もあり、その中には紙巻きタバコ・加熱式タバコで発生しない有害物質が含まれていることも考えられます。
そのため、電子タバコの副流煙は安全であると思い込むことなく、紙巻きタバコ・加熱式タバコと同じような分煙を進めていく必要があります。
電子タバコが原因の死亡事例・健康被害をご紹介
ここまで、電子タバコには紙巻きタバコ・加熱式タバコほどの健康被害は伴わないものの、アレルギー疾患など健康被害を及ぼす可能性があることをご紹介してきました。
さらにこのトピックでは、実際に電子タバコが原因となった健康被害や爆発事故などの死亡事例を2つご紹介していきます。
電子タバコには軽微な健康被害だけでなく死亡事例も確認されているので、安全であると思い込むのではなく、しっかりと使用方法を守って注意する必要があります。
電子タバコによる死亡事例・健康被害①:海外の電子タバコが原因の死亡事例
電子タバコによる死亡事例・健康被害1つ目は、海外で販売されている電子タバコが原因の死亡事例です。
アメリカなどの海外では日本よりも電子タバコの規制が緩く、海外で販売されている電子タバコにはニコチンや大麻成分が含まれるものも存在しています。
ニコチンや大麻成分を含む電子タバコは日本の電子タバコよりも健康被害が大きく、アメリカでは電子タバコの使用後に謎の呼吸器疾患で死亡した事例が複数確認されています。
電子タバコによる死亡事例・健康被害②:電子タバコの爆発による死亡事故
電子タバコによる死亡事例・健康被害2つ目は、電子タバコの爆発による死亡事故です。
2018年にアメリカでは電子タバコの誤った使用による爆発事故で死亡事例が発生しており、電子タバコの発火や爆発事故は過去8年間で約200件も報告されています。
しかし、そのいずれも電子タバコの誤った使用や粗悪な電子タバコによるものなので、信頼できるメーカーの電子タバコを正しく使っていれば発火や爆発を心配する必要はありません。
海外では電子タバコが原因の死亡事例・死亡事故以外にも健康被害の事例がある
- リポイド肺炎
- びまん性肺胞障害
- 急性好酸球性肺炎
- 過敏性肺臓炎
- 巨細胞性間質性肺炎
- 肺障害
海外では電子タバコが原因の死亡事例・死亡事故以外にも、上記にあるような健康被害の事例があります。
海外の電子タバコは日本の電子タバコには含まれていないニコチンが含まれるものも多く、その他さまざまな有害物質が含まれている場合があります。
日本は電子タバコの規制が厳しいため健康被害が最小限に抑えられていますが、海外で電子タバコを購入する際には大きな悪影響がある可能性を考慮しなければいけません。
紙巻き・加熱式タバコと電子タバコどっちが体に悪いのか有害性・危険性を比較
ここまで、電子タバコに含まれる成分・電子タバコが健康に与える影響・電子タバコによる死亡事例および健康被害例をご紹介してきました。
紙巻きタバコ・加熱式タバコの代替品となる電子タバコは健康被害リスクが小さいと考える方は多いはずですが、実際に紙巻き・加熱式タバコと電子タバコどっちが体に悪いのでしょうか。
ここからは、紙巻きタバコ・加熱式タバコと電子タバコどっちが体に悪いのか、両者の有害性や危険性を比較していきます。
タバコと電子タバコどっちが体に悪いか有害性・危険性を比較①:ニコチンによる害
タバコと電子タバコどっちが体に悪いか有害性・危険性の比較1つ目は、ニコチンによる害です。
ニコチンは依存性が高く、肺・心臓への悪影響も大きな有害物質ですが、日本で販売されている電子タバコにニコチンは含まれていません。
タバコ葉を使用した紙巻きタバコ・加熱式タバコにはニコチンが含まれており、呼吸器疾患・心臓疾患のリスクを高めることから電子タバコと比較すると体に悪いと言えるでしょう。
タバコと電子タバコどっちが体に悪いか有害性・危険性を比較②:タールによる害
タバコと電子タバコどっちが体に悪いか有害性・危険性の比較2つ目は、タールによる害です。
タールとはタバコ葉を燃やした際に発生する煙の粒子成分の総称であり、体に悪い有害物質や発がん性の高い物質が多く含まれています。
タールは肺が黒くなる原因物質ですが、タバコ葉を使用していない日本の電子タバコには含まれておらず、紙巻きタバコ・加熱式タバコのようなタールによる害はありません。
タバコと電子タバコどっちが体に悪いか有害性・危険性を比較③:誤飲の危険性
タバコと電子タバコどっちが体に悪いか有害性・危険性の比較3つ目は、誤飲の危険性です。
タバコは細いこともあって赤ちゃんや子供が誤飲しやすく、万が一誤飲してしまうと喉を詰まらせる可能性があるほか、タバコ成分による害も考えられます。
一方電子タバコはタバコと比較すると太くて大きいので誤飲しにくく、タバコよりも有害物質が抑えられていることから危険性は小さいと言えるでしょう。
電子タバコの副流煙には健康被害がある?水蒸気で肺が汚れるのか子供・赤ちゃんへの危険性まとめ
当記事では電子タバコの副流煙には健康被害があるのかどうか、死亡事例・健康被害の例をご紹介しながら、子供・赤ちゃんへの危険性も解説してきました。
電子タバコはタバコに代わる代替品として健康への影響が全くないと思われがちですが、実際には解明されていない影響も多く、アレルギー疾患や心筋梗塞などのリスクもあります。
しかし、ニコチンやタールによる悪影響が紙巻きタバコ・加熱式タバコよりも少ないことは事実なので、適切な方法で電子タバコを上手く利用するのが良いでしょう。